2013年02月21日
OpenSimのためのBlender初歩その3
「OpenSimのためのBlender初歩その2」からのつづき
前回は3D画面でPrimstarを利用して「スカルプテッド・オブジェクト」を作るための基本形をよび出すところまででした。
今回はいよいよBlenderでのメッシュ編集そのもののやり方です。
まずAdd→Mesh→Sculp Meshで基本形のなかのひとつ「Sphere(球形)」を選んで「Build」を押してみましょう。
こんなふうになったはずです。
ここではまず3D画面での視線の方向の切り替え方法を覚えましょう。
いまわたしたちはこの球体を上方(三次元座標のZ軸の上側(プラス側)から見下ろしてるわけです。
ごらんのとおりオブジェクトの中心(「3Dカーソル」という小さな白い円があります)から赤と緑の色つきの矢印がでていますね。赤はX軸、緑はY軸の正の方向を意味しています。Z軸は青なので現在のところ矢印ではなく3Dカーソルの中の点になっています。
ここでテンキーの「1」を押してみてください。(*1)
こんなふうになりましたか?
これはこの球体を正面から見た画像です。
赤と青の矢印が見えていて緑色は中心の点になりました。つまりY軸プラス方向から見ているわけです。
つぎにテンキー「3」を押してみましょう。
赤と緑だけが入れ替わりましたね。これは右側面、X軸プラス方向からの画像です。
最後にテンキー「7」で、
最初の画面にもどります。これがZ軸プラス、つまり真上からの眺めというわけです。
ちなみにそれぞれの数字を押すまえに「Ctrl」を押すと「Ctrl+1」=「背面(X軸マイナス)」、「Ctrl+3」=「左側面(Y軸マイナス)」、「Ctrl+7」=「底面(Z軸マイナス)」--からの眺めになります。
こんなふうにBlenderでの編集ではテンキーを押すだけでオブジェクトを好きな方向から眺めることができます。
でも各座標軸方向からまっすぐ見ただけでは感じがつかめないなー、と思ってる人たぶんいらっしゃいますね?^^
ご心配なく^^ そういうときにはマウスのホイールボタンを押して、そのまますこしどちらでもいいですからお好みの方向へドラッグしてみてください。
どうでしょう? 先ほどまでとは違った角度から見たイメージが見られるようになりましたね。もとにもどすときはさきほどのテンキーを押してください。
なおこのホイールボタンを前後にホイールとして回転するとオブジェクトのイメージ(オブジェクト本体ではなく見た目だけ)を拡大縮小することができます。
こんな具合に作業しながら手間を惜しまず見る方向をあちこち変えて眺めて確認することが3Dモデリングでは大事なことです。(*2)
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このようにBlenderはショートカットキーを多用して素早く視線を切り替えながらモデリングをすすめる、という発想でつくられているようです。しかし他の3Dソフトではそれとはまた違う考え方でつくられたものもあります。
例えばShadeなどでは複数の方向からオブジェクトを眺められるようもともと画面がいくつかに分割されています。こういうソフトになれた人は同じようにBlenderでも複数の画面でオブジェクトを編集したいと思うかもしれません。(わたしは思いました^^)
じつはBlenderは簡単に画面を複数に分割することができます。
まえに「User Preference」画面を引き出すとき3D画面の上のヘッダーメニューのちょっと下にカーソルをもっていったことがありますね。そのときカーソルはこんな形にかわりました。
その状態で「左クリック」で「User Prefetence」画面を引きおろしてきましたが、こんどは反対に「右クリック」してみてください。
ちいさなメニューがでたはずです。
「Split Area 」「Join Area」「 No Header」のうちの「Split Area」(エリアの分割)を選んでみてください。(選ぶときは「左クリック」です)
すると画面のなかに縦の白い線ができます。
このまま再度「左クリック」すると
画面が左右に分割されました。
同じことが上下でも可能です。
今回はメニューは「Split Area」「 No header」のふたつだけですが
同様に分割できます。
これに限らずBlenderはかなり自由度が高いソフトなので各自いちばんやりやすいような形にインターフェイスをカスタマイズして使用することができます。
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(*1)注:ノートPCなどでテンキーがない場合はテンキーのエミュレーション設定を使うことができます。
まず(最初にPythonスクリプトへのパスを通すときに開いた)「UserPreference」画面を開きます。ならんでいるタグのなかの「System&OpenGL」を選択。そのなかの「Emulate Numpad」ボタンをクリック反転してみて下さい。
(*2)注:BlenderはLinux生まれなのでもともと3ボタンマウスで操作するようにできています。Windowsならマウスのホイールを中央のボタンとして兼用できますがMacユーザーなどそもそもマウスにホイールボタンがない場合はどうしたらいいのか?
このときもやはり「User Preferences」画面で「View & Controls」タグを選択。あらわれた「Mouse : Emulate 3 Button Mouse」ボタンを押して有効にしてください。
こうするとAlt+マウス左ボタンが中央ボタンと同じはたらきをするようになります。
どちらの場合もFile→Save As Default」での保存をお忘れなく!^^
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さてさきほどから画面のなかに見えている赤、緑、青の三本の矢印--これは「3Dマニピュレーター」と呼ばれているものです。
「3Dマニピューレーター」とよく似たものをおそらくセカンドライフでものづくりされている方は見たことがあるでしょう。そう、インワールドでプリムを編集するときに現れるあの三色の矢印です。
両者は使い方もほとんどいっしょで、たとえばいまの状態で矢印の一本をマウスでつかんでひっぱるとその方向にオブジェクトが移動します。
「3Dマニピュレーター」はデフォルトでオンになっていますが、そのスイッチはここにあります。
白い指を一本立てた手のアイコンがそれです。
その右どなりに三角、リング、四角のアイコンが並んでいます。
これらを切り替えることでセカンドライフのプリム編集のハンドルと同じようにオブジェクトを移動、回転、拡大縮小することができます。
ただし正直言ってBlenderユーザーはこれらはあまり使わないと思います。
Blenderにはこれとまったく同じ機能をもったショートカットがあるからです。
つまり移動は「G」。回転は「R」。拡大縮小は「S」キーでそれぞれ代用できます。
これらは3Dマニピュレーターより便利な点もあって(たとえばそれぞれのキーのあとに「X」「Y」「Z」とつづけるとその座標方向だけにこれらが作用するようになったりします)たぶんこちらを使っているユーザーのほうが圧倒的多数でしょう^^
みなさんも、もしBldnderをこれから活用されるつもりであれば、できればこちらを身につけてしまったほうがいいかもしれません。
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いままではオブジェクト全体を選択したままでの説明でした。
もちろんこのままでは思うとおりにオブジェクトを変形することはできません。
移動、回転、拡大縮小という編集はその選択範囲を決めて使わなければ意味がありませんよね^^
そのための選択の手段がBlenderにはいくつかあります。
まず最初にショートカットキー「A」です。
これはオブジェクト全体の選択、非選択を選択するキーです。
この初期の状態で「A」を押すと……
このようにオブジェクトのピンク色が消えます。
これは「何も選択されていない」状態です。再度「A」を押すともとの全選択された状態にもどります。
つぎにショートカットキー「B」を覚えてください。
こちらは部分選択のためのキーです。「B」は「Box」の意味だと覚えると忘れないでしょう。
「B」を押すと十字カーソルからたてよこの白線がのびます。
左クリックして右下にひっぱると……
名前のとおり箱のように四角く対象を囲い込みます。日本語では「矩形選択」といわれますね。
この選択部分を解除するときは「A」を押します。そのままさらに「B」で追加して選択することもできます。
このほかにも選択の方法はあるんですが、ここでは必要最低限の知識ということでこのふたつだけにしておきます。
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オブジェクトの選択についてはもうひとつ知っていないといけない大事なことがあります。
前回の記事の最初のあたりで
「この黄色い「辺」はBlenderでは「Edge」と呼ばれ黄色い「小さな点(頂点)」は「Vertex」と呼ばれます。またEdgeで囲まれた「面」そのものは「Face」です」
と説明した部分がありましたね(おぼえてます?^^)
じつはこれらのオブジェクト図形の各要素は画面表示の設定で切り替えることができるんです。
デフォルトではこれは「Vertex」つまり頂点になっています。「A」や「B」の選択ツールで「選択」しているのはじつはこの頂点なんです。
もしこれを切り替えて「Edge」や「Face」にすると今度は選択ツールはこれら辺や面を選択していることになります。
これらの切り替えボタンはここにあります。
「Edge」を選択しておいてオブジェクトを「B」で部分選択するとこうなります。
「Face」の場合はこうです。すこし選択される部分の意味あいが違っているのがわかるでしょうか?
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さてこうやって編集したオブジェクト(スカルプテッド・メッシュ)を保存する方法です。
通常のアプリケーションのように「File」のメニューから「Save」を選んで保存することができます。この場合はBlende独自rの保存形式である.xcfという拡張子のついたデータ形式で保存されます。
これとはべつにOpenSimやセカンドライフでスカルプテッド・プリムとして利用するためには別の方法で(UVマップを出力して)保存しなければなりません。
そのためにはつぎのような手続きをふみます。
まえの画面の分割のところで「Blenderはかなり自由度が高いソフトなので各自いちばんやりやすいような形にインターフェイスをカスタマイズして使用することができる」と書きましたが、これは画面そのものも含まれます。
いままで出てきた「3D画面」、「User Preference画面」、「File Browser画面」、デフォルトで3D画面の下に見えている「Button画面」など、はすべてお互いに切り替えることができます。
そのための切り替えスイッチは各画面のヘッダーメニューの左端にあります。
この部分をクリックすると画面を切り替えるメニューがでてきます。
たくさん画面の名前がならんでいますが、いま関係があるのはこの「UV/Image Editer画面」だけです。(長いので以後「UV/Image画面」と呼びます^^)
スカルプテッド・メッシュをベイクするとき3D画面の横にこの「UV/Image画面」が並んでいると見やすいので、画面をこういう形にしてみてください。(やり方はすでにご承知だと思います^^)
「UV/Image画面」のメニューで「Image」を選びます。サブメニューがひらくので「New」を押してください。
こんな窓がひらきます。WidthとHeightをそれぞれ1024から64にして「OK」を押してください。
数字の書き換えがうまくできないときはShiftキーを押しながら数字をクリックするとうまく反転できます。
つぎにオブジェクトを全選択しておいて--
3D画面の上のヘッダメニューのなかから「Render」を選びます。
Primstarのインストールに問題がなければサブメニューに「Bake Sculpt Meshes」という項目があるのでそれをクリックします。
するとこんなウインドウがひらくので「Bake」を押してください。
UV/Image画面のイメージが虹色になりました。
再度「UV/Image画面」の「Image」メニューから「Save」を選んでこれを保存してください。(.tga形式推薦)
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ひととおりBlenderの操作を理解していただけたでしょうか?
具体的なスカルプ制作は「Blender勉強会」のページに書かれています。
Posted by もとちゃ at 17:30│Comments(0)
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